
引き続きサガンを読む日々でした。
「ある微笑」は、二十歳ほど年上の既婚男性(しかも彼氏のおじさん)と一夏のロマンスを経験する少女のお話。
自分の心理状態と合わなかったのか、少女に肩入れするには自分は歳を取り過ぎてしまったのか、
もしくは、彼女の孤独と倦怠感を感じ切れなかったのか、
他のサガン作品に比べてはいまいち読み込めた気がしませんでした。
でも、またいつか読み直すかもしれない。

「優しい関係」の舞台は、サガンお得意のコートダジュールではなく、アメリカ。
台詞も、今までの作品より割とさっぱりとしているように感じられました。
例えば、今まではちょっとハイソなフランスのモノクロ映画を映写機で観ていたのが、
アメリカ産のミニシアター系で、色が少し褪せたカラー映画を観ている感じ…。
って、全然分かりづらい説明かも。
とにかく、気に入りました。
なぜって、どことなく映画的だから。少しサスペンス的な要素も含みつつ、
「無償の愛」(と書くとちんけな表現になってしまうけれど)をテーマに、
中年女性ドロシーと、彼女の恋人ポールの前に突然表れた美青年、ルイスとの関係を小気味よいテンポで描いています。
こう書くと、「ブラームスはお好き」と人物関係がとても似ているようですが、全く違う趣です。
雨の降るパリと、陽光降り注ぐハリウッドのように違います。(舞台がそうなのです)
人間的なドロシーと、彼女に拾われた美しく無垢でどこか非人間的、しかしながら盲目的にドロシーを愛し尽くすルイス…。
明かされる秘密、少し歪んだ愛情関係、不思議な共生…。
ともすると、おぞましくもなりえる要素たちなのに、
何故かあっけらかんとして、爽やかな後味が読後に残ります。
なんだか、大人のおとぎ話のような印象さえあります。
映像化してほしいような気も少しするかな…。
あくまでも、この世界観を保ったまま。