少し前になりますが、
アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生を鑑賞しました。
ドキュメンタリーと言いつつ、そこまでアニーその人の内面を覗けたかというと分からないけれど、
第三者として彼女のパワー、信念、情熱等々を感じるには充分でした。

映画を観ていれば、これもあれも!登場する写真たちは今までわたしがうっとり見惚れてきたものであり、
誰もが一度は見たことのある、古くかつ人の心に残り続ける写真であり、
ついこの間、本屋で見かけた流行最先端の写真であり…。
衝撃的です。
今まで「素敵!」と思った写真のほとんどは彼女の作品だったのね…!
それなのに知らなかったという事実に恥じ入ってしまいました。
一枚一枚の写真に対して、初めて見たときの衝撃と感激が思い起こされます。
それだけわたしの心に余韻を残した作品たちだったのです。

このフォトシュートの数時間後にジョン・レノンが暗殺されたというショッキングな写真。
でも、最後の最後に、この写真によってヨーコへの深い愛を人の心に焼き付けることができたのではないか…などと勝手に思ってしまいます。


VANITY FAIR誌のために撮りおろした映画マリー・アントワネット用のスチール。
劇中でこの写真の撮影風景を見れたのが、また大感激!
「ブラボー!ビューティホー!」と連呼するアニーが印象的でした(笑)

これも、2人の美しさにうっとりした一枚。
なんていうか、清さと妖艶さを同時に感じます。

これもわたしがまだ幼い頃に撮られた写真のはずなのに、何故かどこかで見知っていた写真。
昨今のセレブママたちの妊娠ヌードなんかとは一線を画す、崇高さ。
まぁ、昨今のセレブママ写真もアニーが撮っているのかもしれないけれど(笑)
やはりこの写真が巻き起こした物議も相当だったのでしょう。

恥ずかしながら、最初はアンジーがマドックス君を引き取ったときに、わたしは「自己満足のためなんじゃないの?」なんて思っていたのです。
でも、そんな疑念を吹き払ってくれたのが、この写真でした。
どんなに彼ら親子が愛し合っているかは、この写真を見れば一目瞭然です。

キーラちゃんのオズを代表に、アニーの撮った有名人をフューチャーしたディズニーおとぎ話シリーズ
(スカーレットのシンデレラ、J.Loと旦那のアラジン、ビヨンセのアリス、ベッカムの王子様など…)
も、また圧巻の創り込み!という感じで、これぞアメリカのコマーシャライズ力の底力!というか…うまく言えないのだけれど、そういうものを感じました。
なんともゴージャス。撮った時点でこの出来上がりの世界観は完成しているのか、
彼女の写真をベースにCGチームが重ね塗りしていくのかは分かりませんが、
セットを用意して構想を練る時点で素晴らしい仕事が成されていますよね。
ちなみに、映画によると後ろのマーチングバンドを呼んだのはアニーのようでした。
…ということで、まさに華やかな世界の華やかな住人たちを
独創的で、かつ普段隠されている内面をさらけ出させるかのような姿で写真に収め、
人々を魅了し、数多のセレブたちの賞賛と尊敬を集め、「彼女が撮ってくれるなら飛んで行くわ」とまで言わしめるほどの存在になった彼女ですが、
一方で、彼女の撮る家族のポートレイトも素敵です。
華やかな表紙やスチール用写真たちとは違い、ひっそりと愛を込めて撮られているのです。



ローリング・ストーンズのツアーに同行し、ドラッグで身をぼろぼろにしながら貪るように彼らの写真を撮った70年代や、
パートナー、スーザン・ソンタグとの出会いと別れ、
50歳を過ぎて子供を授かる経験…
ドキュメンタリーというには、そこらへんの突込みが浅かった気もしますが、
製作が実妹ということもあり、まだまだ存命中のアニーにはまだ露わにできない部分もあるのでしょう。
彼女の本質や生き様というのはまだまだ奥深い気がします。
それは生きている限り変わっていくものだし、他人は彼女から溢れ出ているものをすくい上げ感じるしかできないのかもしれません。
それでもなお、あの素晴らしい写真の数々の裏には、彼女の人間性が大いに関係していると確信できます。
レンズによって一枚隔てるのではなく、一枚剥がされるような…。
そんな印象を受けました。
写真集欲しいなー。